現役弁護士が、実際にあった法廷内外でのエピソードを披露! さらに、トラブルに合いやすい人の特徴、行動心理などを実例を交えて分析。具体的な対処法から、あなたの中にも潜んでいるかもしれない"トラブル体質"の改善法までをわかりやすく伝授します。
「学生時代の友人の男性と20歳からお付き合いをし、翌年には遠方にいる彼のご家族にご挨拶をしてきました。その後も2年間にわたり、彼のご家族皆様と交流を深めてきました。またその翌年には、会社や親戚の家に連れて行かれ、結婚するというご挨拶をしてまいりました。彼の母親との同居も決まっており、彼の実家へ私の荷物も全部運び終わりました。
しかし、私の実家の事情で、同居と結婚はそれから1年後を目安にすることになりました。そして、その直後に浮気をされたんです。彼は、1年半もの間、浮気相手と交際をし続けました。問い詰めると『相手がしつこくて困っているだけなんだ。その子を好きじゃないし、おまえと結婚したい気持ちは変わっていない。別れるから待っていてくれ』と言われましたが、結局、浮気を続行されたんです。
浮気相手も、私という婚約者がいることを知っていましたが、なんとか彼を繋ぎ止めようとして、お金がない彼に車や家を買い与えました。その結果、彼からこう言われました。『本当はおまえのことが好きだし一番大事なんだ。おまえと一緒になりたいけど、俺、あいつと結婚するわ。俺との結婚はなかったことにしてくれ』。こうして、婚約破棄をされたんです……」
こう告白するのは、26歳のSさん。私のところに相談にきた彼女は、彼と付き合い始めから、婚約破棄をするまでの5年半もの時間を失い、深く傷ついた気持ちをどうすればいいのか悩んでいました。
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そして、「最初は、浮気相手を選んだことで、彼が幸せになるならいいのかなって思いました。でもやはり『待っていてくれ』と言われて待っていたのに、それを反故にされたことも、それを知っていた浮気相手の行動も許せません」と語り、婚約破棄に関して、彼らを訴えたいというのです。
Sさん「私はとてもショックを受けたので、彼と浮気相手から慰謝料を取りたいです。彼と浮気相手を訴えることはできますか?」
楠元「もちろん『婚約の不当破棄』といえるものですから、訴えることができますよ」
Sさん「でも、結納はやっていませんし、(彼にお金がなかったこともあり)婚約指輪も贈られていません。それでも、婚約していたと主張できますか?」
楠元「結納がされていたり、婚約指輪が贈られていたりしたら、婚約関係は問題なく認められます。でも、そうした外形的なことは重要ではなく、2人の間に『真面目で確実な将来夫婦になろうという合意』があれば、法律的にも婚約は成立していますよ」
Sさん「"真面目で確実な将来夫婦になろうという合意"を、口頭でもしていれば成立していることになるのですか?」
楠元「はい。ただ、2人の間に口約束しかないと、相手が否定してきた時にどうやって証明するかという問題が残ります。でもあなたの場合は、きちんと家族や親戚に婚約相手として紹介しているし、荷物なども運んで結婚の準備も進んでいたので、証明の点でも問題ないです」
Sさん「家族や親戚に結婚の挨拶をしていることは、強みなのですね」
楠元「しかも彼は、『浮気相手と結婚するから別れてくれ』と言うのですから、婚約の『不当』破棄といえます。婚約の不当破棄は慰謝料が発生しますので、彼に内容証明を送ったり(※1)、訴訟提起をしたり(※2)することによって慰謝料を請求することができます」
Sさん「慰謝料は、いくらくらいになるのですか?」
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楠元「婚約不当破棄の慰謝料の金額は、明確な基準がないので難しいところですが、裁判所では50万~150万円の間で認められることが多いようです。Sさんの場合は交際期間や婚約期間も長く、しかも婚約破棄の理由も相手の浮気によるものですから、悪質といえますが、反面、Sさん側の事情で同居・結婚が遅れたこと、Sさんが婚約に伴って仕事を辞めたわけでもないことを考えると、100万円程度が適正な金額だと思います」
Sさん「浮気相手からも、慰謝料が取れますか?」
楠元「浮気相手に慰謝料を請求するには、浮気相手が、あなたと彼との婚約を知っていたのに彼と交際していることが必要です。この点について彼か浮気相手が自白するか、それなりの証拠が必要でしょう」
Sさん「彼か浮気相手が、自白すれば良いのですね?」
楠元「はい、彼が自白をした場合には、それが証拠になり、浮気相手にも慰謝料請求ができます。ただし、両方に慰謝料請求をした場合の慰謝料額は、2倍になるわけではありません。適正な慰謝料額が100万円だとした場合、2人で合計100万円を請求者に支払うことになります。『連帯責任』と言われるものですね」
Sさん「自白しなかったとしたら、何か証拠があれば良いのですよね? 証拠とはどういったものですか?」
楠元「証拠としては、探偵による調査書のようなものがなければ難しいですね。ただ、婚約者の存在を知っていながら交際をしていたことを、2人が周囲に話すなどして公然の事実となっていたら、彼も浮気相手も否定しにくくなり、自白してしまうケースもあります。しかし、周囲にも隠していた場合には、浮気相手に慰謝料請求をすることは難しくなってきますね」
Sさん「とにかくすぐに行動に移りたいので、まず、彼だけに内容証明を送っていただきたいと思います」
その後、彼との交渉がまとまり、提訴するまでもなく、Sさんは慰謝料100万円を受け取ることができました。単なる交際中の浮気に対して、慰謝料をもらうことはできませんが、Sさんは婚約をしていたので慰謝料をもらうことができたのです。
コモン·ロー上の妻は、メリーランド州のどのような権限を持っていません
先日、俳優の寺田農さんと交際していた女性が、寺田さんを相手に婚約破棄で民事提訴したことが報道されましたが、女性の主張通り、結婚の約束があったのに、寺田さんが他の女性と再婚したとすれば、これは婚約の不当破棄に当たるでしょう。
※1:「内容証明」とは、ここでは「配達証明付内容証明郵便」のことを指します。郵便局が郵便物の写しを保管し、さらに配達証明書を付けることによって「○年○月○日に誰から誰宛に、どのような内容の文書が差し出されたか、その文書を相手方がいつ受け取ったか」を郵便局が証明するものです。弁護士が交渉の前提として相手方に通知書・請求書を送る場合、この配達証明付内容証明郵便を使うことが普通です。訴訟を起こすことが可能な場合でも、まずは相手方に配達証明付内容証明郵便を送って交渉を行ってから、交渉がまとまらない時は訴訟を起こすことが普通です。
※2:「訴訟提起」とは、ここでは民事裁判(民事訴訟)を起こすことを指します。「民事裁判」については、本コラム第1話をご覧ください。
■よくある「浮気による破局」 浮気男にひっかからないために
私の元にやってくる方には、「浮気」による相談は少なくありません。その経験から見えてくるのは、浮気をする男性について比較的共通する項目があるのではないかということ。相談者の方からもっとも多かった意見と、実際に裁判になった事件で、浮気をしたことのある男性の特徴を多くなりますが挙げてみたいと思います。
●浮気をしたことのある男性の特徴
一.外面が良い
一.調子がいい
一.嫉妬深い
一.独占欲が強い
一.器用
一.口数が多い
一.メールの文章が短すぎる割にメールはマメ
一.携帯やパソコンを覗かれるのを嫌がる
一.飽きっぽく、持続力がない
一.不安がらせるようなことをする
一.急な予定が入ることが多い
一.必要以上に優しくて、見返りを求める
一.行動がつかめない
以上の項目に当てはまるからといって浮気をするとは言い切れませんが、実際に浮気をした多くの男性には、このような傾向がありました。ただし、「いかにも遊んでそう」「普段から携帯を手放さない」などといった男性なら浮気をしそうな気がして、お付き合いの対象にならないかもしれませんが、そんなわかりやすい男性だけではありません。浮気をする性格をあえていうとすれば、女性に心配をかけたり、悲しませることが多かったり、女性を大事にできなかったりする人。こういう男性は結果的に浮気をすることに繋がるのかもしれません。
法律上では、ただ交際しているだけなら浮気をしても違法になりませんが、内縁の関係や婚約、結婚関係にあるのに浮気をしてしまえば、「不法行為」として違法になり、慰謝料の問題が生じます。また、浮気は今でこそ犯罪ではありませんが、戦前は既婚者の浮気は犯罪とされていたことがあるほど、罪深いことでした。今回の事件のように、浮気は罪なことだという意識を持ってもらいたいですね。
1972年、熊本県生まれ。現在、神奈川に拠点をおいて弁護士として活動中。自らの離婚経験や、法廷で実際にあった事件を活かし、男女トラブル解決をメインに、週刊誌など"問題解決のプロ"として幅広く活躍中。
はいはい、浮気浮気
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